NCBのSDGs

西日本シティ銀行のSDGs達成への取組み

SDGsを、知って、学んで、できることから実践してみよう。

Last Update | 2020.09.28

小学生向けSDGs啓発冊子『SDGsの学校』

株式会社西日本シティ銀行
住所 : 福岡市博多区博多駅前3-1-1
https://www.ncbank.co.jp

  • 質の高い教育をみんなに
  • パートナーシップで目標を達成しよう

 西日本シティ銀行は、2020年8月、小学生を対象としたSDGs啓発冊子『SDGsの学校』を発行しました。この冊子は、小学生が理解できるようなわかりやすい表現でSDGsについて解説し、小学生にSDGsを「自分ごと」として考える機会を提供するものです。SDGsについて知ることはもちろん、具体的に考えて、お友だちや家族と一緒に話し合いながら、SDGsへの理解を深める構成となっているのが特徴です。

持続可能な開発のための教育

  この『SDGsの学校』の制作にあたり、監修を北九州市立大学 眞鍋和博教授に依頼しました。眞鍋教授は、SDGsを推進しさまざまな社会課題を解決するための教育、いわゆるESD = Education for Sustainable Development (持続可能な開発のための教育) に取り組んでいらっしゃいます。

北九州市立大学 眞鍋和博教授

ーESD (持続可能な開発のための教育) とは何ですか?
眞鍋教授 環境教育や人権教育、平和教育など、個別のテーマについての学びは、昔から行われていました。ところが社会課題が複雑化した現代では、それらを統合的に学ぶ必要が出てきました。ESDは現代的な社会課題に包括して取り組む学習で、2000年頃から始まっています。大きな特徴に“実践する”ことが挙げられます。知る、覚えるだけでなく、実際に自分で取り組んでその成果を共有したり、改善したりすることが重要です。

ーどのような人材を育成する取組みですか?
眞鍋教授 ESDは、創造力や、協働する力、課題を解決する力の育成のための取組みで、すでに北九州市では小学校や中学校の教育現場で実践されています。ESDを特に推進するユネスコスクール推進指定校になっている小中学校も市内にあります。川の生態系を守るにはどうするか? 平和の尊さを継承するために戦争の記録をどのように残すのか? など取組みのテーマはいろいろで、地域の社会課題をどう解決するかを実践的に考えます。たとえば川の環境保全については、昔は理科の授業の課題でしたが、ESDでは行政が果たすべき役割や地域産業との関係性、私たちの暮らしの利便性との関係などを統合的に考えることが求められています。

ーむしろ、子どもたちにとっては当たり前の考え方なのですね。
眞鍋教授 ESDは「SDGs推進のための人材を育てる」取組みです。教育現場でESDを実践しているので、SDGsについては、子どもたちの方がよく知っていますし、むしろ保護者が子どもたちから教えてもらうテーマとも言えます。かつて産業の発展こそが良いことだと、成長モデルの教育を受けてきた保護者世代にとって、産業の発展と環境保全や社会の安定を統合的に実現せねばならない現代は、答えのない時代として戸惑う部分が多いと思います。そういった意味で、今回の『SDGsの学校』は、小学生とその保護者が一緒にSDGsを学び、実践するための良い機会になればと思います。保護者にこそ、ぜひ良い学びのチャンスになってほしいです。

『SDGsの学校』の使い方

ーESDの観点から『SDGsの学校』をどう使うと良いですか?
眞鍋教授 ESDでは“実践する”ことが重要です。つまり、新しく学んだことをアウトプットすることです。具体的には「人に話す」とか「文章としてまとめる」、さらには「具体的に活動する」などですね。『SDGsの学校』を通じて新しく学んだことを、親子で話し合ってみるとか、感想文やブログを書いて発信してみるとか。エコバッグを積極的に使うなどは、具体的な活動になりますね。保護者世代の教育は、どうしても覚えることが主流でしたが、現代は学んだことを発信することが重要です。

ーなぜ、発信することが重要なのですか?
眞鍋教授 現代は、何が正しいのかがわかりにくい世界になっています。誰かにとっては正解でも、誰かにとっては不正解の事柄が数多くあります。たとえばレジ袋の問題。レジ袋を作る会社は、それを必要とするお客さまのニーズに応えることで利益を上げている一方で、海の環境を破壊し生物の多様性を損なうことに意図せず繋がってしまっている。安くておいしいチョコレートを供給している会社は、なぜ安くチョコレートの原料を仕入れることができるのか? 学校に行けず働かされている子どもたちや不当に低い賃金で働かされている人がいるのではないか? ー誰かの利益のために誰かが困る世界は持続的ではありません。でも、わかりにくいから放っておくのが一番良くない。自分自身の学びや考えたことをアウトプット(発信)すると、いろんな立場の人からリアクションが生まれます。そこで、お互いに意見を交わして、現代における最適解を見出すことが重要だと思います。

『SDGsの学校』には、自分でできるSDGsを記入するページもある

ーSDGsの推進も、やはり自分自身で実践するものですね
眞鍋教授 SDGsは誰かに認証してもらうものですか? と尋ねられることがありますが「これをすれば正しいSDGsです」と、誰かが正解を用意してくれているものではありません。17のゴール、169のターゲットに応じて指標は設けられていますが、必ずしもそれにとらわれる必要はありません。ひとり一人が、自分で考えて、実践して、意見を交わして、そういったトライアンドエラーを繰り返して具体的に行動することが持続的な社会をつくる取組みです。『SDGsの学校』でも、学んだことを活かして「じゃあ、自分には何ができるのか? 」を記入するページを設けています。ぜひ、親子で話し合いながら、具体的な行動を起こしてもらえるとうれしいです。