NCBのSDGs
西日本シティ銀行のSDGs達成への取組み
地域の子どもたちを地域のみんなで育てあう、そのために地域の人が活躍できる仕掛けを。
NCBのフードドライブ活動
株式会社西日本シティ銀行
住所 : 福岡市博多区博多駅前1-3-6
https://www.ncbank.co.jp
西日本シティ銀行は、2021年8月、認定NPO法人チャイルドケアセンターの子育て支援事業に賛同し「フードドライブ活動」を開始しました。フードドライブ活動は、家庭などで使いきれない食材を集め、地域の福祉団体やフードバンクなどに持ち寄る取組みのこと。まずは二日市支店を中心とする筑紫地区10か店で始め、当行職員それぞれが家庭で使いきれなかった食材を各営業店に設置したフードボックスに持ち寄り、チャイルドケアセンターが運営する「ふくおか筑紫フードバンク」を通じて子ども食堂に食材をお届けしています。持ち寄る食材は、お米・缶詰・インスタント食品など未開封で賞味期限が1か月以上残っている常温保存が可能な食品で、職員は子ども食堂の運営 (配膳や片付けなど) にも協力をします。
フードバンクとフードドライブ
当行が取り組むフードドライブ活動とは、行員の家庭で使いきれない食材を集めて、地域の福祉団体やフードバンクなどに持ち寄る活動のことです。一方でフードバンクとは、おもに企業や農家から出る、食べられるのに余ってしまう食品や食材を寄贈してもらい、食べ物を必要としている人のもとへ届ける活動および団体を指します。企業や農家からは賞味期限が近いもの、規格外のものなどが集まり、子どもたちだけでなく、さまざまな事情で食べ物が足りない人たちへと届けられます。このような企業や農家、家庭で消費しきれない食品や食材を必要な人に届ける仕組みは、誰もが手軽にフードロス削減に参加できる取組みなので、SDGsの認知度が高まるにつれ、その活動の裾野がどんどん広がっています [註1] 。
[註1] 『colabora』で紹介した大分市の「トンネルをぬけると…たまりば」の活動は、このフードバンクと子ども食堂を一緒に運営している事例です。
子どもたちに、いろんな体験や人との関わりの場を作りたい
このようなフードロス削減の取組みで重要な役割を果たすのがフードバンクです。当行の筑紫地区におけるフードドライブ活動は、認定NPO法人チャイルドケアセンターが運営するふくおか筑紫フードバンクと協働で実施しています。フードバンクの現状についてお伺いするべく、チャイルドケアセンター 代表理事 大谷清美さんを訪ねました。
チャイルドケアセンターの始まりは、1997年に立ち上げた子育て情報誌『びぃ~んずキッズ』というフリーペーパーの発行です。「子育て中の母親7人の行動力を頼りに、地域全体に活動を広げてきました。手弁当で始めた活動が、2001年11月にはNPO法人の認証を受け、時代の変化に合わせながら子育て支援事業を拡大して、2020年には認定NPO法人格を取得するほどになりました。現在は、大野城市とその近郊の4市 (春日市・太宰府市・筑紫野市・那珂川市) を中心に、子育てに関する支援活動と、子育てに関わる支援団体とネットワークを結びながら『子どもを真ん中に、地域で育て、育ち合う』を理念に活動を行っています」と語る大谷さん。
「私たちが子ども食堂を初めて開催したのは、2015年12月でした。子どもが食を楽しむ機会を提供したり、子どもたちが自分でお米を洗ってご飯を炊く、いりこで出汁を取りお味噌汁をつくれるようになるなど、子どもたちの生きる力を育むような活動ができないかなと思っていました。また、子育て支援などさまざまな活動を展開してきた中で、近年は孤食の問題が広がっていて、誰かとあたたかいご飯を食べるという経験が少なく、地域のコミュニティとのつながりが不足しているこどもがいることも問題だと考えていました。そのような中、子ども食堂という取組みを知るわけです。当時報道では、貧困状況に置かれている子どもたちがたくさんいて、その子を救うのが子ども食堂であると、子どもの貧困の話題をセンセーショナルに伝えていました。貧困の子を集めるような事業は難しいけれど、食を中心に幅広い年齢層が多様な形で参加する場なら作りたいっていう思いがどんどん膨らんでいきました。そこで『食を中心とした居場所づくり』という視点で子ども食堂を開始することになったのです」と大谷さんは当時を振り返ります。
子ども食堂はここ数年で数が急増していて、2021年の時点で、全国で6,007か所、昨年12月の調査より1,047か所も増加しているそうです。「多くの子ども食堂は、幅広い年齢層が多様な形で参加する多世代交流の場として、地域の子どもたちのために、食を中心に学習支援やさまざまな体験、人との関わりの場が持てるような居場所を地域で作りたいと願うボランティアさんが、たくさん集まる場所になっているんです」と大谷さんは言います。つまりそれこそが『子どもを真ん中に、地域で育て、育ち合う』という理念そのままの取組みと言えるのです。
続けて、大谷さんにはチャイルドケアセンターが初めて子ども食堂を開催した当時を振り返ってもらいました。「当時、まだ子ども食堂が開催されているところがわからなくて、手さぐりの状態でした。開催場所から探すことになるのですが、館長さんがいて調理室もある。災害があったときは、地域の避難所にもなるという点で、公民館での子ども食堂をイメージしました。思い切って公民館の館長さんに相談すると、部屋の使用料金や水道光熱費などすべて無料で協力してくださることになり、その取組みを新聞に取り上げていただいたことで、全国からお米や調味料、野菜などがたくさん届きました。地域の農家さんからも『ウチの野菜を子どもたちに食べさせてやってくれんね』、『私にも何か手伝えることはないですか』などの声も届き始め、これだけ皆さんが応援してくださるということは、今後、子ども食堂という取組みが広がるはずだと確信を持ちました。しかし、継続するにためは、食材を集め、管理し流通させる仕組みが必要だと気付くのです。それがフードバンクの始まりです。食品を取り扱うことは想像以上に大変で、最終的には保健所の勧めもあり、食品衛生の講習会を受講しました。振り返れば、多くの方に助けられ、支えていただいているから今があるんです」。
子ども食堂は、長く続けることが一番大切なこと
子ども食堂の取組みが一般的にも知られるようになるにつれ、大谷さんの元には相談が増えているそうです。「『子ども食堂を運営したい』というご相談が増えました。子ども食堂が広がり、継続的な活動となるためには、皆さんの力が大きな支えとなりますが、企業等との連携は、公的な機関・団体と比べると、まだ広がっていないのが現状です。しかしフードドライブを通じた食材の寄付や、運搬の支援など、さまざまな形で子ども食堂を支える企業も増えてきました。企業・団体の規模や業種によってできることは異なりますが、多様な支援の広がりが子ども食堂の活動を支えていくことを期待しています。地域の子育ては、誰か1人ががんばるのではなくて、地域の子どもたちを地域で育てようって応援する人たちを増やすことが重要だと思っています。たとえば子ども食堂に来れば、地域のいろんな人がいて、勉強を見てくれたり、高齢者の方が昔の話を聞かせてくれたり、自分の話を聞いてくれたりして、自分はここに居ていいんだっていう居場所になる。子どもたちを地域で育てあうためには、無理せず楽しく長く続けられる方法がいろいろあると思うんですよ。皆さんができることを探して、一歩踏み出していただくことを期待しています」と大谷さんは話してくれました。
当行は、今回ご紹介した筑紫地区でのフードドライブ活動に加え、2021年11月には、北九州エリアでも認定NPO法人フードバンク北九州ライフアゲインを通じてフードバンク活動を開始しました。今後、筑紫地区、北九州地区とさらに活動の範囲を広げていく予定です。大谷さんが教えてくれた『無理せず楽しく長く続けられる方法』で、地域社会の一員として子どもたちを育て合えるように。