colaboraレポート

九州の地方創生SDGs注目の話題

地域の元気を創造する西日本フィナンシャルホールディングスが取り組む地方創生SDGs。

Last Update | 2020.05.25

中期経営計画『飛翔2023~地域の元気を創造する~』

株式会社西日本フィナンシャルホールディングス
住所:福岡市博多区博多駅前3-1-1
https://www.nnfh.co.jp

  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 産業と技術革新の基盤をつくろう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • 気候変動に具体的な対策を
  • パートナーシップで目標を達成しよう

 2020年3月30日(月)に、西日本フィナンシャルホールディングス(以下、西日本FH)は、2020年4月から2023年3月までの3年間を計画期間とする中期経営計画『飛翔 2023~地域の元気を創造する~』を記者発表した。3つの基本戦略を展開しながら“地域の元気を創造する”ことを目指す計画に込められた想いを、西日本シティ銀行 執行役員 小湊真美 広報文化部長のインタビューから読み解いてみる。
 

中小企業専門金融機関というDNA

―西日本シティ銀行(以下、NCB)を中核とする西日本FHが、さまざまな地域貢献の取組みを継続してきた背景を教えてください。
小湊 NCBの原点は「中小企業専門金融機関」です。NCBは旧西日本銀行と旧福岡シティ銀行が2004年に合併して誕生しましたが、旧2行で培われた「中小企業育成DNA」を脈々と継承し、数多くの地元中小企業の方々とともに成長してきた歴史を持ちます。その原点から発して、2016年に持株会社制へ移行し、特長ある子会社を持つ総合金融グループを形成しています。その歴史的な背景から、当社グループは「地域の発展なくして当社グループの発展なし」との信念のもと、地域とお客さまの発展に向けた取組みを継続してきました。

西日本シティ銀行 執行役員 小湊真美 広報文化部長

 少し具体例を挙げますと、昨年はNCB創立15周年記念事業の一環として、劇団四季ミュージカル『ライオンキング』の福岡公演に、福岡市内の中学生1万人を無料招待しました(2019年12月から2020年1月にかけて全10公演)。この取組みは、地元・福岡の未来を担う中学生に、本格的なミュージカルを鑑賞する機会を提供することで、地域文化の向上に寄与したいと考えて実施しました。また、公益財団法人福岡文化財団との共催で開催している『NCB音楽祭』は昨年12月で第5回を迎えました。地元ゆかりの音楽家の方々や九州交響楽団などにご協力をいただき、市民の皆さまと当社グループ社員とで結成した「フロイデ合唱団」による『第九(ベートーヴェン交響曲第9番)』の合唱をはじめ、オペラやダンスなどさまざまなコンテンツの公演を行なっています。
 他にも、神楽や神舞を紹介する『日本の神様と舞い踊ろう~地域に根付く神楽と神舞』を福岡文化財団との共催で開催したり、地域の歴史や文化を取り上げてわかりやすく紹介した『博多に強くなろう・北九州に強くなろう100の物語』上・下巻を、2018年11月、西日本新聞社より一般発売しています。そうして、おかげさまで昨年、NCBは創立15周年を迎え、当社グループは今年の4月から新しい中期経営計画『飛翔 2023』の下、新しいステージがスタートしました。

  • 『ライオンキング』中学生1万人招待事業の記者会見
  • 『ライオンキング』中学生1万人招待当日の様子
  • 『NCB音楽祭2019』開催の様子
  • 会場となった福岡シンフォニーホール(写真提供:福岡市)
  • 『日本の神様と舞い踊ろう~地域に根付く神楽と神舞』の様子
  • 会場となった大濠公園能楽堂

―その長い歴史の中で、地元福岡・九州をはじめ、日本国内の環境は大きく変わってきました。西日本FHをとりまく環境を教えてください。
小湊 まずもって新型コロナウイルスの感染拡大により影響を受けられた皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。今、私たちの営業店窓口には、資金繰などさまざまな悩みを抱えるお客さまが数多く来店されています。それぞれのお客さまに親身になって寄り添い、その解決に全力を注ぐことが、私たち地域金融機関の役目であり、使命です。今、まさに、私たちの存在意義が問われていると感じ、その使命を果たすべく日々奮闘しています。
 この感染症の影響がどの程度の期間、どのような規模で影響を与えるか、まだまだ不透明な部分が多いのですが、元来、地元福岡・九州は、経済力に富み、大型再開発プロジェクトが進むなど潜在能力の高いマーケット環境にあると言えます。九州のGDPは日本の約1割と、3大都市圏に次ぐ経済規模を持ち、アジア諸国とも密接な相互関係を維持しています。自動車、半導体、農業、観光など多様な産業が集積していますし、福岡市は国の国家戦略特区「グローバル創業・雇用創出特区」の指定を受けていますので、新規開業率が5.9%と(全国平均4.2% ※いずれも2018年度)主要都市ではトップクラスです。また、福岡市は人口増加率が7.1%と(※2010-17年の増加率)主要都市でトップという稀にみる人口増加エリアで、特に大学等の教育機関が集積していて、福岡市の人口10万人あたりの学校数は全国屈指です。さらに、福岡市では大型都市開発プロジェクトが多数進行中で、なかでも「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」は経済波及効果が5,000億円以上と試算されています。

  • シーサイドももち(写真提供:福岡市)
  • 天神・渡辺通り(写真提供:福岡市)
  • JR博多駅(写真提供:福岡市)

 一方で、国内全体を見てみますと、少子高齢化・人口減少による労働力不足や、地球温暖化にともなう気候変動や激甚災害の発生など、企業活動の基盤を揺るがすリスクが顕在化しています。ライフスタイルの多様化が進み、生活者のニーズも多様化・高度化していますので、企業は常に新しい変化が求められている状況です。
 同様に、銀行のサービスも変革期を迎えています。デジタル化が進み、デジタルで対応できるサービスの割合が増えていますが、逆に人間でないとできないサービスの重要度が増しています。そこで、当社グループの新中期経営計画では、お客さま起点の「One to Oneソリューション」を“ヒューマンタッチ”とデジタルの両面で提供し、地域社会とお客さまの発展に貢献することを掲げています。
 

新中期経営計画の重点施策

―では、新しい中期経営計画の重点施策について少し詳しく教えてください。
小湊 まず、新しい中期経営計画『飛翔2023~地域の元気を創造する~』という名称は、当社グループが一丸となって、より高い目標に向かって積極果敢に挑戦し、お客さま、地域の皆さまと共に未来に向かって大きく“羽ばたいていく”という意味を込めた『飛翔』を前中期経営計画から継承しています。副題の『地域の元気を創造する』には「地域の発展なくして当社グループの発展なし」との信念のもと、グループをあげて「元気な九州・福岡を、さらに元気に!  」することを目指すという意味が込められています。
 そして、基本戦略として「地域経済の活性化」「お客様満足度の向上」「強固な経営基盤」の3つを掲げています。中でも「地域経済の活性化」については特に重要視しており、さらに4つの重点施策 ①地域の産業・雇用の創出に向けた創業支援 ②地域開発における主導的役割の発揮 ③地域の課題解決に向けたサポート体制の構築 ④地域の魅力向上に向けた社会貢献活動 を掲げています。
 ①の創業支援については、NCBが脈々と継承してきた「中小企業育成のDNA」を発揮する得意分野です。特に創業率が高い福岡の地域特性を鑑み、有望なベンチャー企業の成長を「まるごとサポート」していきます。新しいベンチャーファンドを組成するなど出資機能を拡充しベンチャー企業の資金調達を支えながら、各種コンサルティングサービスを提供し、創業前から事業開始後まで強固にサポートしていきます。
 ②の地域開発に関しては、福岡市が進める2大プロジェクト「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」に積極的に参画します。「博多コネクティッド」については、NCB本店本館ビルを含む保有する3棟を順次建て替える連鎖的再開発に着手することを発表しました。九州の各エリアの再開発プロジェクトへの積極的な関与を通じて、地域の活力とにぎわいの創出に貢献し「元気な九州・福岡を、さらに元気に! 」する取組みを加速していきます。

西日本シティ銀行 本店本館ビル

 ③の地域課題解決のサポート、これは、まさに協働が大切だと考えています。当社グループは、地域金融機関として、地域のあらゆる企業や団体、地方自治体、大学や学校、メディアなど、地方創生に欠かせないプレイヤーと横断的に連携できる特性を持っています。その特性を活かして、SDGsの視点を取り入れながら地域の課題解決のための付加価値の高いビジネスモデルを創出していきます。その中には、いわゆる地域商社と呼ばれるような仕組みの構築も視野に入れています。
 

地域の課題解決とSDGs

―この地域課題の解決には、SDGsの視点が求められるということですね。
小湊 地域が抱える課題は、本当にさまざまで、その課題を生み出している原因や、その課題を解決する手法、解決することで得られるメリット等は、地域に関わる方々、いわゆるステークホルダーの立場や視点、考え方によってさまざまな価値を持ちます。地域のステークホルダーの方々が、それぞれの立場で、それぞれに課題解決の取組みを行っても、うまく結果が出なかったり、恩恵を受ける人が偏ったりしますし、場合によっては、結果的に不利益をこうむる方が出ることも考えられます。
 そこで、SDGs(持続可能な開発目標)という、共通の“ものさし”があると、多くの企業や団体、地方自治体が、同じ価値基準で協働することができます。そういう意味で、地方創生におけるSDGsの視点は非常に大きな意味を持つと思います。地域課題は、SDGsの17のゴールのどれかに関連するもので、その具体的な解決目標は169のターゲットに明記されています。その"ものさし"を地域のステークホルダーの方々で共有することで、課題解決の取り組みが協働しやすくなります。地域の課題をSDGsの視点を活かして解決する「地方創生SDGs」という考え方です。当社グループは、SDGsが掲げる「誰一人取り残さない(leave no one behind)」の精神で、地域の皆さまと協働できるよう、パートナーシップを活性化する役割を担い、地域の課題解決のサポートを行いたいと考えています。
 

西日本FHのSDGs達成への取組み

―地域の魅力向上にむけた社会貢献活動は、西日本FHが行うSDGs達成への取組みですね。
小湊 当社グループでは、ご紹介したとおりこれまでにさまざまな社会貢献活動を行ってきました。改めてSDGsの視点から、それぞれの取組みの意義を再確認し、新しい取組みや継続する取組みを展開していきます。
 新しく始めた取組みの具体例のひとつとして「SDGs認証支援型私募債」があります。地域の学校等へ図書やスポーツ用品等の物品を寄贈する機能を付した社債「つなぐココロ」や、九州の世界遺産の管理団体(基金や自治体等)へ支援金を寄付する機能を付した社債「九州ヒストリー」に加え、2019年10月からは、子ども食堂への寄付機能を付した私募債「希望の環」の取り扱いを開始しました。特に「希望の環」はご好評をいただいており、開始から6ヵ月で、53件39億6千万円(2020年4月末)を発行しています。この「SDGs認証支援型私募債」は、社債発行企業に対して、公益財団法人九州経済調査協会によるSDGsへの取組状況の調査を踏まえて、NCBが「SDGs認定証」を授与しているのが特長で、SDGs達成に積極的に取り組みたい企業と協働した社会貢献活動といえます。 
 また、地域活性化においては、今後の九州経済を担う優秀なプレイヤーの排出が重要課題のひとつと言えます。福岡は、優秀な人財が街の発展を支えてきた歴史があり、人財をどのように育てるかという問題と同時に、優秀な人財が集りやすい街づくりも重要です。そのため、当社グループは、SDGsを通じた地域活性化のひとつとして「学びの支援」というテーマに積極的に取り組んでいます。地域の子どもたちにお金の価値や銀行の役割などを教える『お金のがっこう』は15回の開催を数え、2019年10月にはSDGs啓発型子ども向けカードゲームのワークショップ『街-1(まちわん)グランプリ』を開催したほか、九州大学が開催した『SDGsデザインインターナショナルアワード2019』へ企業グラントとして参加しています。『街-1(まちわん)グランプリ』は、NCBと大手広告代理店・博報堂との協働で開発したオリジナルカード(以下、街-1カード)を使って“ワクワクする楽しい街のアイデア”を考えるワークショップです。SDGsや街づくりを楽しみながら体験できるカードゲームで、開催後に多くの企業や団体、教育機関等からお問い合わせをいただきました。

  • 『街-1(まちわん)グランプリ』の様子
  • 『お金のがっこう』の様子

 今回開設したこのWEBサイト『colabora(コラボラ)』では、こういった当社グループの取組みはもちろんのこと、企業や自治体等のSDGs達成への取組みを積極的に発信し、地方創生SDGsに取り組む皆さまと情報を共有してまいります。また、九州・福岡には、自社の経済活動を通じてさまざまな社会課題の解決にチャレンジしている企業が多いため、地域のあらゆる方々とパートナーシップを結べるという地域金融機関ならではの特性を活かし、地方創生SDGsに取り組む企業や団体、地方自治体の皆さまと協働し、九州経済の今後の発展のために地域の役に立ちたいと思っています。