SDGsなプロジェクト

九州の企業が取り組むSDGsプロジェクト

事情はいろいろ 願いはおなじ。福岡で快適に暮らしたい、その想いに応える仕事。

Last Update | 2020.12.25

株式会社三好不動産

株式会社三好不動産
住所:福岡市中央区今川1-1-1
TEL:092-715-1000
https://www.miyoshi.co.jp

  • すべての人に健康と福祉を
  • 質の高い教育をみんなに
  • 働きがいも経済成長も
  • 人や国の不平等をなくそう
  • 住み続けられるまちづくりを
  • パートナーシップで目標を達成しよう

人口が増え続ける福岡市の“住”を支える

 福岡市は、2020年5月1日時点の推計人口が初めて160万人を突破したと発表した。天神や博多など都市圏中心部にオフィスや商業施設が集積し、九州各地からの転入者が転出者を上回る状況が続いている。特に大学や専門学校が多く、年代別で見ると15~24歳の転入が多いのが特徴だ。一方で、高齢化も進んでいて、2020年3月末時点の高齢化率(65歳以上の割合)は21.8%で、市の推計では2040年には31%に上昇する見通しとのこと。
 少子高齢化に伴う人口減少は、特に地方都市における大きな社会課題となっている中、人口増加数が全国の市でトップ(2019年)という“人口が増え続ける”福岡市。そんな福岡の街の住環境を、長年にわたり支え続けている企業がある。2020年10月、創立70周年を迎えた株式会社三好不動産だ。

株式会社三好不動産 本社

原点は不動産管理業

 創立は1951年(昭和26)、今も本社を置く唐人町(福岡市中央区)は、当時、遠洋漁業の基地があり漁師が多く住む町だった。「遠洋漁業に出る漁師さんから『家族を守ってほしい』という相談が始まりだったそうです」と振り返るのは、執行役員の松本茂規さん。「性能が決して高くない船での漁業は海難事故が多くて、漁師たちは命がけの仕事をしていました。そのため『一度漁に出ると何か月も家を留守にするので、もしものことがあったら残った家族はどうなるのか』と不安を抱えていた漁師から相談を受けていたそうです。そこで漁師たちに賃貸住宅経営の提案を行い、アパートを建てるだけではなく、沖に出たらなかなか戻れない彼らの代わりに、管理から家賃集金までを一手に引き受ける。『三好さん頼んだよ』そう言って、漁師たちは安心して沖へ出ていった。それが三好不動産の始まりです。当社は不動産の管理業が原点であり、困っている人を助ける思想が会社に根付いています」。こうして日本で初めての不動産管理業が生まれたとのこと。
 一般に不動産賃貸には「仲介」と「管理」がある。「仲介は」大家さんから依頼を受けた賃貸物件の入居者を募集するもので、入居希望者と賃貸借契約を結び仲介手数料を得る。つまり“鍵を渡して終了”である。一方「管理」は、大家さんから賃貸物件の管理全般を委託され、入居者募集に加え、物件のメンテナンスや家賃の回収と管理、退室時の原状回復やリフォームなど、業務内容は多岐にわたり、大家さんから管理料を得る。松本さん曰く「鍵を渡した後も考える」仕事である。

株式会社三好不動産 執行役員 松本茂規氏

不動産業の価値とは?

 「どうしても不動産業というと、物件を右から左に流して手数料をもらってるイメージで見られがちですが、大家さんの資産をお預かりして大切に管理するのが私たちの仕事の原点です。そのために何ができるか? リーシング(入居者募集)を行う、退去後の原状回復もしっかり行う、何かあればすぐ駆けつけられる距離にいる。だから自ずと商圏は限られて地域密着型になる。そうすると、地域のことに詳しくなる、福岡に住みたいという人に詳しくお伝えできるようになる、大家さんだけでなく地域の皆さんから信頼されなければ商売ができなくなる。そういうことを物理的にも精神的にも積み重ねてきたら、不動産業そのものが地域貢献につながっているのではないか? そんな共通認識が社員の間に自然と生まれてくるようになりました」。松本さんは、70年間の個々の仕事のワンシーンごとを紡ぐように語っていく。「たとえば、お預かりしている建物の老朽化が進んで腐食が激し状態であれば、街の景観にも影響を与えかねませんし、さらに、外壁の落下事故の原因にもなったり、街の治安悪化を招く恐れが出てくるため、建物を大切に管理することは地域のインフラ整備につながる。そんな風に考えていくと、不動産業の価値が見えてきます。不動産業は、社会を支える仕事なんだ、困っている人を支える仕事なんだ、そんな想いが、社員一人ひとりに自然と根付いてきたように思います」。
 三好不動産は、経営理念に『不動産業界のモデル企業として、社会に貢献する勤勉企業に挑みます』と掲げている。SDGsについても業界のモデル企業として、率先して「SDGs宣言」を行うべく、業務を整理して17のゴールをマーキングしていったとのこと。「SDGsは、私たちが企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献できているのか? ということを確認しあえるものだと感じました」(松本さん)。実はこの「SDGs宣言」、トップダウンではなく、広報担当社員が経営陣に提案して実現したもの。いかにも“三好らしい”動きである。

高齢者の“住んでから”もサポート

 「不動産業界のモデル企業として、社会に貢献する」三好不動産の、では具体的な現場を見てみよう。まずは、高齢者の“住”の問題である。若者の転入が多い福岡市とはいえ高齢化率は20%を超え、今後ますます高まる見通しだ。高齢者の中には、さまざまな事情からひとり暮らしを余儀なくされる人も多く、自己で所有する住居が無い場合は民間の賃貸住宅を契約することになるが、そこには「保証人」という大きな壁がある。一般に、賃貸借契約を結ぶ場合は「連帯保証人」もしくは「保証会社」が必要で、民法に定められている制度でもある。しかし、高齢者のひとり暮らしの場合、頼れる親族がいなかったり、保証会社の審査が通らない場合が多く保証人を立てられない。結果、住む場所を確保できない状況に置かれてしまう。この困っている人を助けるべく、2001年(平成13)、三好不動産はNPO法人を設立する。「介護賃貸住宅NPOセンター」である。

介護賃貸住宅NPOセンター(福岡市中央区)

出典:全国宅地建物取引業協会連合会
 仕組みはこうだ。賃貸住宅のオーナーとひとり暮らしの高齢者の間に入り、介護賃貸住宅NPOセンターが高齢者の生活をサポートすることを条件に部屋を借りて住居を確保する。「一般的に、高齢者と賃貸借契約を結ぶことに積極的ではない大家さんが多い状況です」と言うのは介護賃貸住宅NPOセンター 事務局長の安田 豊さん。全国宅地建物取引業協会連合会の調査(2018年)によると、高齢者への斡旋を積極的に行っている会員事業者はわずか7.6%しかない。「そこで、私たちが大家さんと賃貸借契約をして、高齢者の方に転貸借します。入居後のさまざまなサポートを私たちNPO法人が行うことで大家さんには安心して貸していただけるよう尽力しています」。
 高齢者との賃貸借契約が積極的に行われないのは、先の保証人問題だけでなく、懸念されているのは「認知症」と「孤独死」と言われている。「契約時には問題がなくても、住み始めて数年が経つと認知症の症状が出てくる場合があります。ひとり暮らしで、認知症に起因する奇行が目立つようになると、大家さんや管理会社でも対応が難しく、同じ建物に住む入居者が退去したり、警察沙汰になる場合もあります。孤独死の場合は、賃借人が亡くなった場合は賃貸借契約は相続されます。ところがひとり暮らしを余儀なくされる高齢者は、相続人と疎遠な場合が多く、相続人が誰か分からない場合もあります。そうすると、入居者不在のまま契約は維持され続けるので大家さんは八方塞がりになります」(安田さん)。つまり、介護賃貸住宅NPOセンターが行う「入居後のさまざまなサポート」とは、これらすべてに対応するという意味である。先に紹介した松本さんが言うところの「鍵を渡した後も考える」仕事そのものである。

  • 介護賃貸住宅NPOセンター 事務局長 安田 豊さん
  • 介護賃貸住宅NPOセンター 長 朱美さん

 「入居希望の方とは、まず面談をします。安田と私と必ず2人一緒に面談します。信頼関係を結べることが一番大事ですから」と語るのは、介護賃貸住宅NPOセンターの長 朱美さん。「借主さんのところには、原則、月に1回は訪問していろんな話をします。もちろん人によってはもっと頻繁にお邪魔することありますし、家の中にこもりがちな方だと一緒にお買い物に連れ出したり、病院に一緒に行って(医師の)先生の話を聞いたりとか。そうすることで認知症の予防とか、大病を防ぐことにもつながります。また『洗濯機が動かないから来て欲しい』って言われて行くと、裏の隙間にタオルが詰まってただけとか、しょっちゅうありますよ。管理会社が行くとお金を取られますからね。私たちでできることはなんでもやりますよ」と笑う。安田さんと長さんの日常は、不動産斡旋というより”近くの親戚”である。「端から見ると『大変ですね』と言われますが、私から見たら家族に会いに行く感じです。毎日ビシっとスーツを着て難しい折衝をするよりは、気楽で性に合っていますよ」と長さんは言う。「家族関係がしっかりしている人は、逆にここには来ません。だから、私たちが近くにいて、家族のように接することで、大家さんは安心して部屋を貸してくださるし、借主の方のいろんな不安も解消できます。そうすることで、福岡で、快適に暮らせる方が一人でも増えれば、その甲斐もあるかな」と言う安田さん。三好不動産が、営利を追求するのではなく、あえてNPO法人を設立した理由も、持続可能な仕組みを作ることが狙いだったと言える。

「三好なら、やれる」と感じたLGBTの取組み

 次に紹介する現場はLGBTの“住”の問題。LGBTとは、Lesbian(レズビアン:性自認が女性の同性愛者)、Gay(ゲイ:性自認が男性の同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル:男性・女性の両方を愛することができる人)、Transgender(トランスジェンダー:身体的な性別と性自認が一致しない)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ。心の性(性自認)身体の性好きになる性(性的志向)というおもに3つの切り口で考えられるもので、 Questioning(クエスチョニング:自分の性別がわからない・意図的に決めていない人)や、それ以外の性を表す「+(プラス)」を加えてLGBTQ+という単語も使われる。
 これまで長い間、男性と女性の2つしか選択肢が存在しなかったことから、さまざまな違和感を抱えながら生きることを余儀なくされてきた人の存在が、ここ数年で少しづつ認識され始め、社会の仕組みが少しづつ変化している。三好不動産では2016年(平成28)から取り組んでいる今日的なテーマである。「きっかけは『九州レインボープライド』代表の三浦暢久さんと、弊社代表の三好との出会いです。そこでLGBTの方の住まいに関する悩みを知ることになり、まずは社内での勉強会から始めました」と当時を振り返る松本さん。九州レインボープライドとは「LGBTを始めとするセクシュアルマイノリティを筆頭に、世の中の差別や偏見から子どもたちを守り子どもたちが前向きに、自分らしく生きていくことができる社会の実現を目指している」団体およびイベントの総称で、年に一度セクシュアルマイノリティの団体やそれを支援するアライ(ally=味方)の団体や企業も参加するイベントを開催している。三好不動産は2016年から5年連続でイベントに参加している。

株式会社三好不動産 スマイルプラザ事業部 スマイルプラザ別府店店長 原 麻衣さん

三好不動産のレインボーマーク
 最初は手探りで始めたLGBTの取組みは、一人の社員が「私がやります!」と自ら手を挙げたことから大きく進展し始める。スマイルプラザ別府店店長 原 麻衣さんだ。原さんは入社6年目。賃貸専門の事業でキャリアを重ね2年前から現職の店長を務めている。「4年前、年2回ある社内の研修会でLGBTの問題がテーマになって『これは私だな』って思って手を挙げました。三好不動産ならきっと対応できるはずだし、やらなきゃいけないことだと思いました。三好不動産には高齢者や外国人など、住まいで困っている人たちのさまざまなニーズにいち早く応える社風があるから『三好なら、やれる』と思いました」と当時を振り返る。それから4年、三好不動産オリジナルのレインボーマークは全社員の名刺やピンバッジに、店舗には必ずレインボーの“何か”が飾られているそうだ。

LBGTの“住”問題とは?

 では、LGBTの”住”の問題とは、具体的にどういうことなのだろうか? 「同性カップルの2人入居に関して、まだまだその対応が浸透していないと感じます」という原さん。「兄弟とか姉妹とか公的な関係の場合は問題ないんですが、同性パートナーという概念に大家さんや管理会社の理解が進んでいません。一番は(賃貸借契約の)連帯保証人についての問題ですね。主たる契約者の1人はもちろん、厳しいところだと2人とも必要な場合もあります。カミングアウトしていないカップルは、保証人の方(多くは親族)に同居する人との関係性を説明しなければなりません。そこで保証人の同意を得ることは難しいからと、1人入居で契約して、周りにバレないように隠れるように同居してるなんていう不幸なケースもあります」。一般に、夫婦や兄弟など公的な関係性がない場合の同居(友人契約)は、同居解消による家賃滞納や契約解約のリスクを常に孕んでいるため賃貸借契約の審査が難しいと言われている。しかもLGBT当事者同士の場合の同居人はパートナーなので、その関係性が理解されない場合が多く、入居審査の前に断られるケースも少なくないとのこと。三好不動産は、自社で管理を受託している物件(管理戸数)が約38,000戸、福岡市の民間賃貸の8~9%弱のシェアを誇り、家賃保証会社もLGBTに理解があるため「自社管理物件であれば、契約者ベースで見るので、契約者が働いて条件を満たしていれば保証人は不要なので、案内がしやすいのですが」と原さんは教えてくれる。「三好なら、やれる」と感じた理由の一つでもある。
 一方、借主側の不安もある。「今でこそ三好不動産はLGBTフレンドリーな企業として、少しづつ認知が広がってきたと感じることがありますが、最初は相談しにくいイメージがあったそうです。同性2人入居で相談すると差別的に見られないかと不安があったと。LGBTの方は、だいたいお1人で来店されて2LDや1LDKを探したりされます。ただ『友人との同居なら2部屋必要だよね』って思って案内しますが、カップルなら1DKや1LDKの方がむしろ良かったりします。皆さん、それが言えないんです。言うと変な目で見られる怖さがあって。私たちは、的外れなご案内をしないように、カップルであることを教えてもらわなければいけませんし、LGBTの方々が言いやすい空気を作らないといけない。最初は私一人で対応していましたが、次第に社員全員でLGBTが当たり前になってきたので、今は、どの店舗でも、きちんと安心してご案内できる状況にあると思います。5年後には、同性2人のお客さまに『カップルですか? 』と当たり前に聞ける世の中になってるんじゃないですか」と言う原さんの言葉は、当たり前が当たり前でない今の状況を痛感させられる。

「九州レインボープライド2019」では三好不動産 社員130名でパレードに参加

外国人が直面する“住”問題

 同じように、住まいの問題に直面しているのが外国人だ。福岡市で暮らす外国人は37,130人で、うち留学生は13,974人(いずれも2018年12月末)と、全国的に見ても高い水準にある。「人と環境と 都市活力の調和がとれたアジアのリーダー都市」を目指す福岡市の政策もあり、今後、外国人の存在感はますます増加することが予想されるが、実際の住まいの現場はどうだろう?  ソリューション事業部 アセット営業室 李 潔明さんが教えてくれた。李さんは入社6年目。現在は不動産の売買担当で、かつては九州大学の留学生の住まいのサポートをしていた外国人対応のスペシャリストだ。
 「まずは、留学生の保証人問題ですね。留学生は、福岡に親も親戚もいませんので、保証人がいません。結果、学校が一括で借り上げた物件を転貸借している物件か、保証人不要の物件しか選択肢がないんですね。三好不動産の管理物件であれば、当社と提携している保証会社に留学生プランがあるので、それでスムーズにいくのですが…」と、やはり、ここでも契約時の連帯保証人の問題が挙がる。賃貸借契約における連帯保証人は、大家さんの資産を守る上で重要な制度だが、さまざまな事情で保証人が立てられない人が多いのも実情だ。「大家さんにも外国人への理解が浅い方がいて、生活習慣や文化が違うことに対する不安や、特に退去後の原状回復に費用が嵩むイメージを持っていらっしゃる方もいらっしゃいますね」と言う李さん。福岡市ですら、現場はそうなのだ。

株式会社三好不動産 ソリューション事業部 アセット営業室 李 潔明さん

 さらに続く。「外国人留学生は、あまりお金に余裕がないのでルームシェアをする人が多いです。2LDKや3LDKを2~3人でシェアするケースで、それらはいわゆる“ファミリー物件”なんですね。ファミリー層が暮らしているコミュニティの中に、突然2~3人の見知らぬ外国人が混ざることで、『夜、騒がしくなるんじゃないか』とか『治安が悪くなるんじゃないか』と不安を感じる方もいて、大家さんやマンションの管理組合さんがNGを出すケースもあります。それと、もし家賃を滞納して夜逃げした場合、日本ではなく本国に逃げられた場合はどうしようもないという不安も聞きます。留学生ならば学校に対応をお願いすることもできますが、社会人の場合は、もうどうしようもないですから」。偏見や理解不足に起因するだけではなく、過去の事例に学んだリスク回避に起因するものまで、聞けば聞くほど貸主と借主、双方にいろいろな事情があるのだと痛感させられる。
 「九大の留学生には『何かあったら、管理会社や大家さんの前に、まず自分に連絡をしてほしいって言ってました。たとえば家賃を銀行口座からの自動引き落としにしていても、祝日の関係で引き落とし日が認識している日と違っていたため、残高不足で家賃滞納になったりもするんですね。でも、そういうのは留学生には分からないし、誰も教えてくれない。だから、僕が“お兄さん的”な役割で、まず相談にのってあげる。一方で、大家さんや不動産管理会社には『僕がちゃんと面倒を見ますから、(物件を)留学生に紹介させてください』ってお願いに行ってました。そうして実績を積み重ねて、無事に卒業できると、次の新入生の時は『李さんの紹介なら、いいよ』って言ってもらえる。それが嬉しかったですね。今は留学生のサポートはしていませんが、僕の後輩がちゃんと引き継いでますよ」と人懐っこい笑顔を見せる李さん。ちなみに、三好不動産には李さんのような外国人スタッフが5ヶ国16名在籍しているそうだ。

不動産業界のモデル企業を目指して

 高齢者の問題も、LGBTの取組みも、外国人のサポートも、三好不動産の姿勢は基本同じである。大家さんと借主の間に立ち、お互いが安心して暮らせるようにそれぞれの事情に応じて、できることを尽くしているのだ。松本さんが言う「鍵を渡した後も考える」とは、そういうことだ。「私たちは、お客さまに鍵をお渡しする時に『ありがとうございました』って言われる。鍵をお返しいただく時も『ありがとうございました』と言われる。繁忙期に賃貸店舗に行くとお菓子がいっぱいあって、どうしたの? と聞くと、全部お客さまからのいただきものだって。私たちの仕事はそういう仕事なんだと痛感するんです。だからこそ、お客さまに『住んで良かった』って思っていただくようにならなければいけないと思うのです。私たちは困っている人同士を結びつけるのが役割です。空室で困っている大家さんと、部屋が借りられなくて困っている人のために何ができるか? をずっと考えてきました」と語る松本さんの言葉は、三好不動産の現場を見せられると、強い説得力を持って響いてくる。

 最初に紹介した三好不動産の「SDGs宣言」を経営層に提案した、広報担当・川口恵子さんは、こう話してくれた。「当社の基本姿勢は、すべての方に安全・安心・快適な住環境の提供です。事情はお客さま一人ひとり違いますし、性別や国籍、家族構成など人それぞれで、違ってあたり前だと思っています。お客さまの課題を解決するために、その解決方法が世の中にない場合は、仕組みそのものを当社独自でつくることも少なくありません。当社は不動産会社のトップランナーとしてその試行錯誤を今なお繰り返し続けています」。SDGsを通じた社会課題解決とは、まさにそういうことなのではないだろうか。